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平成9年11月9日から16日までの8日間、(社)日本動物園水族館協会の海外研修 「アメリカ西海岸の水族館展示研究ツアー」に参加しました。 参加園館は11園館、参加者は全部で16名で、 大阪の海遊館や横浜の八景島シーパラダイス等からも参加されていました。 ツアーの行程は、東京(成田)→サンフランシスコ経由 →バンクーバー(2泊)→シアトル(2泊)→サンフランシスコ経由 →モントレー(2泊)→サンフランシスコ経由→東京(成田)の6泊8日です。 訪問した水族館は、カナダのバンクーバー水族館、アメリカのシアトル水族館、 そしてかの有名なモントレー水族館の3館です。 ![]() 最初に訪れたバンクーバー水族館は、カナダ西部ブリティッシュコロンビア州第一の都市で、 カナダの西の玄関口に当たるバンクーバー市にあります。 バンクーバー市は、北に山々を望み、南にフレイザー川のデルタ地帯を控え、 穏やかな気候と豊かな自然に恵まれています。 バンクーバー市には市民の憩いの場となっている、 カナダでも有数のスタンレー公園(300ha)があり、 この公園のうっそうと生い茂った林のなかに水族館があります。 特に、今回前日の雨が上がった後に訪れたので、 ひんやりとした中うっすらと靄がかかり、とても静かでロマンチックな雰囲気が漂っていました。 また、入り口に飾ってあるシャチの彫刻が印象的でした。 展示水槽の配置は、バンクーバー周辺海域、北極、熱帯アマゾン、熱帯大平洋と地域別になっています。 ここでは、日本と違ってボランティアが、シャチの動きやジャンプの解説をしていました。 また、一部の水槽に担当者の等身大の写真があったことや、 バンクーバーには日本人が多く住んでいることから、 ウニの水槽の横に寿司の写真があったのが、印象に残っています。 ![]() 次に訪れたシアトル水族館は、アメリカ西部カナダ国境近くに位置するワシントン州最大の都市シアトル市にあります。 エメラルドシティーの愛称があるシアトル市は、 エリオット湾に面する水と緑にあふれる美しい港町で、 神戸市と姉妹提携しており、市の駐在員事務所も設置されています。 エリオット湾沿いのウォターフロントは、市の中心地であり港湾施設以外に、 ウォターフロントパークとして公園化した部分があり、 ユニークなレストランやショッピング街が設置されていて、観光スポットとしてとても賑わっています。 水族館は、このウォータフロントパークの一角にあり、ウォータフロントの中心施設の一つになっています。 ここの建物は、普通日本ではあまり考えられないことですが、桟橋の上に建っています。 ここで特に印象に残っているのは、漢字で「水族」と書かれた日本コーナがあり、 昭和63年と平成4年に水族交換で、須磨水族園から送ったニシキゴイやマツカサウオ等が、 今も大切に飼育・展示されていることでした。 このシアトル水族館は、1977年のオープン以来20年経過しているので、 現在水族館の再整備をメーンにしたウォターフロントパークの再開発が計画されています。 「太平洋の入り口」と名付けられたこの計画では、 水族館の展示の方式を現施設では入館者が水槽を順番に見学していく回廊式であるのを、 ロビーを中心に設置し(ハブの部分)、その回りに各テーマ毎の館(リムの部分)を配置する ハブ&リム方式に変更することになっています。 また、シアトルに遡上するサケの展示の充実をはかることも今回の計画の特徴の一つです。 再整備後は、市からの援助がなくなり、バンクーバーやモントレーと同様、 独立採算性になるそうです。 館長からは、2003年頃に完成するので、日本からもたくさん見学に来て欲しいとの話がありました。 ![]() 最後に訪れたモントレー水族館は、サンフランシスコの南約200kmに位置する、 観光と漁業の町モントレー市の中心部にあります。 モントレー市は、昔のスペイン統治時代の古い町並みが残っている風光明媚なリゾート地で、 こぢんまりとしたフィッシャーマンズワーフには、 ギフトショップやシーフードレストランが集まっています。 また、漁船やヨットの横でオットセイが、のんびりと日向ぼっこをしているのが眺められます。 水族館は、昔のイワシの缶詰め工場を利用したものですが、 アメリカ屈指の施設で、この町の主要な観光資源にもなっています。 ![]() 入口から中にはいると、たくさんのクジラやイルカ等のレプリカが、 天井から吊り下げられているのにびっくりしました。 ここの展示は、従来からあるモントレー湾の生物を中心とした部分と、 1996年に開設した外洋生物の部分とからなっています。 モントレー湾の展示では、かの有名なケルプの森の水槽に圧倒されました。
そして、外洋生物の展示では、特許を得ているというクラゲの水槽、
天井に設置されているイワシの群泳(表紙の写真を参照)をみせる水槽や、
マグロ・マンボウの泳いでいる大水槽がとても素晴らしいものでした。
また、2000年には深海生物の展示コーナーを設置するそうです。
ここでは、これらの常設展示以外に、毎年テーマを決めて特別展を行っており、
1997年3月から1年間は、漁業について考える「解決のための漁業:収穫は何?」が開設されていました。
これらの展示にふれてみると、この水族館は単なる観光スポットとしてだけではなく、
誠実な教育・研究施設でもあるという感じがします。
年間利用者数も、バンクーバーで約87万人、シアトルで約62万人に対して、
モントレーは約170万人であり、このモントレーが、
米国屈指の水族館であるということがよく分かります。
今回訪れた水族館は、バンクーバーは公園に、シアトルは町の中心に、
そして、モントレーはリゾート地にあり、それぞれの立地する条件が違います。
また、展示についても、各館それぞれの特徴があります。
しかし、これら施設の各館長の話を聞いて、一様に感じたのは、
日本との国民性や社会制度の違いもありますが、
水族館の管理運営にボランティアが重要な位置を占めていること、
個人や企業が水族館の運営に援助を与えていること等、
地域社会が地域の財産として、水族館を守っていこうとする姿勢と、
水族館側もそれに応えて観光面での役割だけでなく、
学校教育への参画・社会教育活動の充実により、
地域社会に貢献しようとしている姿勢でした。
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