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当園の亀崎直樹 学術研究統括(前園長)が国際ウミガメ学会特別功労賞(Lifetime Achievement Award)を受賞しました

 この度、2月18日から23日に神戸国際会議場等で開催された第38回国際ウミガメシンポジウムの最終日、晩餐会における表彰式で、当園前園長の亀崎直樹(当園学術研究統括・岡山理科大学教授)が、国際ウミガメ学会特別功労賞を受賞しました。日本人による同賞の受賞ははじめての名誉です。
 今回、受賞した「特別功労賞」は、専門家として歩んだ人生を通じて世界のウミガメの生物学と保全の分野に絶大なる影響を及ぼした個人を称えるための賞で、国際ウミガメ学会による公式の顕彰制度の中で最も権威のある賞です。

 

【亀崎学術研究統括 受賞のコメント】
 この度は名誉ある賞をいただき光栄に思います。 浦島太郎の物語からもわかるように、日本には古くからウミガメと人間の共生関係が存在しています。この関係は世界に類をみないものです。南日本のウミガメが産卵する砂浜には、この関係を健全に保つために献身的に働き続けてきた浦島太郎のような人達がいます。私はそんな人達の仕事を世界で評価されるようになればと活動を続けてきました。賞をいただけるなら、私ではなく、田舎のそんなお爺さんたちなのです。自然や野生動物の保護に人類が取り組むようになり40年ほどが経ちますが、必ずしもすべて上手く行っているとは限りません。これからは浦島太郎爺さんのような人がどんどん増えることが大切だと考えています。

201800226kamezaki_hp.jpg受賞スピーチをする亀崎学術研究統括

 

略歴:亀崎直樹 博士(人間・環境学) 須磨海浜水族園 学術研究統括、
                   岡山理科大学 地球生物学部教授、
                   IUCN(国際自然保護連合)ウミガメ専門委員

 

 鹿児島大学水産学部を卒業し、紆余曲折を経て目覚めたウミガメ研究をするため、研修員を経て京都大学大学院に進学。日本産ウミガメ類に関する研究で博士学位取得。さらには日本ウミガメ協議会を組織し、全国津々浦々の人たちを結ぶネットワークを構築する。東京大学大学院客員教授を経て、平成26年岡山理科大学教授に就任し現在に至る。
平成22年当園園長に就任し、調査研究体制を強化・構築する。特に、外来種ミシシッピアカミミガメの実態把握と対策に取り組む。平成26年園長は退任したが、現在でも学術研究統括として当園の研究活動を牽引している。
国際ウミガメ学会特別功労賞(Lifetime Achievement Award)
 国際学会会員に一般公募し、推薦された候補者を、会員による選挙で選出された5名の表彰委員が選考、会員による選挙で選出された役員で構成される理事会の承認を得て正式に授与が決定されます。毎年、国際シンポジウムの最終日、晩餐会の際に発表、表彰をおこなわれ、2008年から過去25名が受賞しています。いずれもウミガメの研究・保全の分野において歴史に名を刻んだ、世界レベルで認められている重鎮ばかりです。本年は、亀崎学術研究統括を始め、4名の受賞者が表彰されました。

 

◆選考基準◆
第一線から既に引退しているもしくは、キャリアの最終段階にあること
ウミガメの生物学と保全における知識の領域拡大に目覚ましい貢献を果たしたこと
その影響が、国レベル、地域レベル、世界レベルで及んでいること
指導者としての影響の大きさとすぐれた独創性がみとめられること

 

◆受賞理由◆
 亀崎氏は、南西諸島・台湾におよぶ広域調査により日本列島が北太平洋におけるアカウミガメの唯一の産卵地であることを明らかにした。1990年に日本ウミガメ協議会を設立し、全国の関係者をネットワーク化して、北太平洋におけるアカウミガメの上陸産卵の全容を明らかにするとともに、各地の保護調査活動の育成に努めた。mt-DNAの分析や標識放流再捕から北太平洋のアカウミガメが南半球のアカウミガメとは互いに独立した個体群であることや、日本で生まれたアカウミガメがカリフォルニア沖で成長することなどの生活史を明らかにした。さらに、ウミガメ類の自然界での交雑や、頭蓋骨の形態の地域特性について解明した。これらの研究は、いずれもウミガメに関する知見を大きく広げるものであり、世界のウミガメ保護研究の発展に著しく寄与した。また、指導者としても、2名の博士、8名の修士、その他多くの卒論を指導し、後進の育成に努め、日本のウミガメ研究の国際化にも貢献した。

推薦人:松沢慶将(日本ウミガメ協議会会長・国際ウミガメ学会会長)
賛同者:Colin Limpus(豪クイーンズランド州政府環境科学局主任研究員)
    Brian Bowen(ハワイ州立大学教授)
    石原孝(神戸市立須磨海浜水族園 研究員)

 

◆表彰委員会委員◆
Thushan Kapursinghe(スリランカウミガメプロジェクト リーダー)
Andy Estrades(「Karumbe」代表)
Micheal Jensen(米国大気海洋省漁業局南西水産研究所 研究員)
Erin Seney(米フロリダ中央大学 研究員)
Shaya Honarvar(米インディアナ・パデュー大学 研究員)

 

◆本年の他受賞者◆
Maria Angela Neca Marcovaldi(ブラジルTAMARプロジェクト代表)
Donna Shaver(米国立公園局パドレ島国立海岸部ウミガメ科学回復課課長)
菅沼弘行(エバーラスティングネイチャー前代表)

 

◆備 考◆
 国際ウミガメ学会の公式な顕彰制度には、他に、近年ウミガメの効果的な保全に向けて目覚ましい活躍を遂げた個人・団体に贈る「Champion Award」、本職・専門は違うもののボランティアとしてウミガメに貢献した個人をたたえる「Ed Drane Award for Volunteerism」(2011年創設)がある。