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兵庫県内における淡水ガメの遺伝子レベルでみた交雑種の現状

須磨海浜水族園では日本固有種である淡水ガメ「ニホンイシガメ(以後、イシガメ)」の保全に関する研究を行ってきましたが、この度、そのイシガメと中国から移入されたと考えられる「クサガメ」との間で交雑が進んでおり、このまま放置しておけばイシガメの遺伝子かく乱の恐れがあり、純粋なイシガメがいなくなる危険性があることがわかってきました。
本研究は当園の園長 亀崎直樹と東京大学大学院生 上野真太郎氏と京都大学大学院生 浜端朋子氏が行いました。西日
本から集めたイシガメの細胞にあるミトコンドリアの遺伝子を分析したところ、イシガメの外部形態を持つ個体からクサガメの遺伝子が検出されました。これは、そのカメの母親あるいはその母親(祖母)あるいはそのまた母親(曾祖母)がクサガメであったことを示しています。また、逆にクサガメの中にもイシガメのミトコンドリア遺伝子を持っている個体が見つかっており、両種の間で遺伝子の混合が進んでいることが明らかになりました。
このまま放置しておくと、河川開発などによりただでさえ減少しているイシガメの遺伝子が、さらにクサガメの遺伝
子によってかく乱されることとなり、純粋なイシガメがいなくなる事態も予想されます。近年になって、日頃、池や川で見かけるクサガメが300~400年前中国から移入されたものであることが明らかになってきました。寿命が長く、世代交代の長いカメの世界で、クサガメの遺伝子がイシガメの中に確実に浸透しつつあるようです。近年、オオサンショウウオやニホンザルなどで外国の近縁種との雑種化が問題になっていますが、イシガメでも同様な現象が起こっており、生物の安易な移動が種の倒壊を招きかねないことを示しています。
当園ではさらに調査研究を進め、今後の対策を検討していく予定です。

 

イシガメ-HP.jpg   クサガメ-HP.jpg

【左】純粋なニホンイシガメ(大阪府産)、
【右】クサガメのmtDNAを持った
イシガメ(静岡県産)

 

【左】イシガメのmtDNAを持った
クサガメ(奈良県産)、
【右】純粋なクサガメ(熊本産)