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第26弾「海洋生物の生態をDNAで探る」

この度、第5回神戸賞の受賞者を決定しましたので、ご報告いたします。受賞者は、ハワイ大学のBrian W. Bowen博士です。博士は、ウミガメ類や鯨類、サメ類をはじめとする多くの海洋生物を対象にDNAを用いてその進化における系統関係、生活史、生態の研究を行っており、系統地理学と呼ばれるこの分野のパイオニアでもあります。
生物の進化がどのように進んできたのか、その結果どのような生態を獲得
したのか、ということは多くの人が興味を持つとともに、生物の成り立ちを知る重要な問いです。陸上では山や森、海や川といった地形や生息環境の違いが生物の移動や生活上での障壁となり、種が分かれていきます。一方で、海洋には陸上ほどはっきりとした物理的な障壁はありません。ウミガメやヒゲクジラ、マグロなど、海洋を大きく回遊している生物も多くいます。陸上とは大きく異なった環境の中で、生物がどのように進化してきたのかを、論理的に説明できる学問としたBowen博士の功績は極めて大きなものがあります。
今回の授賞を記念して、園内ではサイエンスカフェを、神戸市内のホテル
では受賞式および記念講演会を開催し、市民の皆様にBowen博士の講演を聞いていただきました。
 
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↑講演会の申込み用紙はこちらから
 

 

◆受賞者◆

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Brian W. Bowen博士 (ハワイ大学海洋生物研究所)

 

海洋生物の生態学的研究に分子遺伝学的手法を応用した系統地理学の最初の研究者であり、ウミガメ、サンゴ礁魚類、サメ、海鳥、マナティーなどを対象にそれぞれの系統地理や回遊パターンを明らかにしてきた。1992年ジョージア大学にて遺伝学で博士号取得。サイエンスやネイチャーをはじめとする科学学術雑誌に約150編の論文を発表している。

 

◆受賞対象研究◆

「ウミガメ類の集団遺伝学と系統地理」

 

海洋に暮らすウミガメ類の生活史は、個体を追跡することの難しさから、長らく謎に包まれてきました。その中で、1995年にBowen博士らによって日本で生まれたアカウミガメがアメリカ大陸まで太平洋を横断して渡り、その後再び日本へと戻ってくることがミトコンドリアDNAを解析することによって明らかにされました。それ以前からアメリカ大陸側には大人のアカウミガメがいないことは知られていましたが、甲長わずか4cm、体重20g程度の子ガメが太平洋を横断できるとは誰も考えていない時代のことで、ウミガメ類が世界規模の回遊をしていることを初めて明らかにした研究でもありました。

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また、Bowen博士はアカウミガメの他にもアオウミガメやタイマイ、ヒメウミガメなどを対象に様々な個体群の遺伝的な集団構造を明らかにするとともに、ウミガメの代名詞ともなった母浜回帰説を裏付け、どこの産卵地で繁殖している集団は摂餌回遊でどこの海域へ移動しているのか明らかにすることにも成功しました。

 

◆授賞式および記念講演会◆

開催日時   平成27年5月24日(日曜)13時30分~16時(13時開場)
開催場所   ホテルオークラ神戸 1階 松風の間
講演題目  

「DNAが解き明かしたウミガメの進化と生態」

定員   150名
入場料   無料
   

※講演会終了後参加希望者の方は懇親会(17時~19時:会費5000円)にご参加頂けます。

申し込み方法  

先着順(別紙申し込み用紙に必要事項記入の上、FAXまたはemailにて)

※ページ上部のチラシをダウンロードしてください。

    必要事項:氏名、住所、TEL、FAX、メールアドレス、参加人数
    ※5月13日(水曜)までに懇親会お申込みの方(要参加費事前振込)には当園入園券を進呈。
   

定員に達した段階で募集を締め切らせていただきます。

締め切り以降に申し込まれた方にのみ、その旨、ご連絡差し上げます。

 

 

◆サイエンスカフェ◆ ※終了しました。

開催日時   平成27年5月23日(土曜)18時~20時(17時30分受付開始)

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開催場所   神戸市立須磨海浜水族園 エントランスホール
講演題目   「海洋生物の生態をDNAで探る」
定員   50名
参加費   中学生以上1,000円、4歳~小学生500円、3歳以下無料

 

 

◆授賞記念講演会・サイエンスカフェの問い合わせ先◆

神戸市立須磨海浜水族園 mail: info@sumasui.jp FAX: 078-733-6333

 

◆神戸賞選考委員◆

委員長 :

亀崎直樹氏

(岡山理科大学地球生物学部教授/神戸市立須磨海浜水族園学術研究統括)
委員 : 朝倉 彰氏

(京都大学瀬戸臨海実験所教授兼所長/付属白浜水族館館長)

  : 幸島司郎氏

(京都大学野生動物研究センター教授)

  : 幸田正典氏

(大阪市立大学大学院理学研究科教授)

  : 佐藤克文氏

(東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター教授)

 

※神戸賞とは…
研究活動と社会教育活動に力を入れる当園が、2010年に新設した国際的
な顕彰制度。水圏生物における調査研究活動の発展、自然環境保全に対する意識向上、神戸市のアピールにも貢献するべく、水圏生物学や生物多様性の分野において目覚ましい業績をあげた研究者を表彰し、副賞として100万円を贈呈。日本を代表する海洋生物学者で組織される選考委員会によりノミネート、最終選考が行われる。